「普通」にとらわれている人への声かけ

 

 

改めて思い起こしてみると、

保健指導の対象者さんからこんなふうに言われることがよくあります。

 

「”普通”はどうするんですか?」とか、

「検査値がどれくらいなら”普通”ですか?」とか、

「痩せるなら運動するのが”普通”なんですよね~」とか。

 

キーワードは「普通」です。

 

 

そして、私も保健指導をしながら、

 

「”普通”はこうなんですよ~」とか、

「〇〇さんは”普通”だと思いますよ」とか、

「”普通”は食べ過ぎている人が多いですね」とか。

 

割と”普通”に(笑)

そういう声かけをしていましたね。
(^_^;)

 

 

日本人の特徴なんでしょうかねぇ?

保健指導をしていると、対象者は、

自分が「普通」なのかどうかを確認しようとしたり、

「普通」の状態を知っておこう、

としているような気がします。

 

そして、

自分が「普通」であれば安心し、

「普通」から外れていると不安になって、

なんとかしようと考え始める。

 

私たち保健指導をする側も、対象者の動機づけをしようとして、

「〇〇さんは少し”普通”から外れてますよ。

今のうちになんとかしたほうがいいんじゃないでしょうか?」

というニュアンスの言い回しを使うことがあります。

 

 

でもね。

「普通」って何でしょうかね?

その「普通」って、誰が言ってるんでしょうかね?

 

ストレスチェック後の健康相談をしていて、

そんなふうに考えさせられたケースがありました。

 

 

 

 

相談者は、新卒のときは就職氷河期で、

非正規社員として社会人生活をスタートさせました。

 

最初の会社に8年勤めましたが、

周りから「正社員として働くのが”普通”だ」と言われ、

転職したそうです。

 

転職先は知り合いの人から

「”普通”にやればできる簡単な仕事だから」

と紹介された会社です。

 

正社員として就職し、働き始めましたが、

「こんなこともできないのか。これくらいできるのが”普通”だろう」

と罵倒される日々が続いたそうです。

 

そしてついにうつ病を発症して退職することになりました。

 

それから療養とリハビリののちに、

現在の会社に非正規の社員として就職し、

働いているという方でした。

 

 

相談者のお話をうかがっていると、

 

「”普通”はこうなんですよね。

でも自分はそういうふうにできないから・・・」

(だから自分はダメなんです)

 

というパターンの話し方をしていました。

 

パワハラを受けていた当時は、

上司から「お前はなんで”普通”にできないんだ」と、

毎日怒鳴られていたとおっしゃっていました。

 

きっと、怒鳴られてますます頭の中が真っ白になってしまい、

さらに失敗を重ねるという悪循環だったのだろうなぁ、

とうかがわれます。

 

そして相談者は、

「”普通”は正社員にならないといけないから」

「”普通”はもっと年収がないとだめだから」

「”普通”は結婚もして子どももいて、親の面倒も見ないといけない年齢なのに」

そうでない自分はどうすれば”普通”になれるのか・・・

と真剣に悩み、不安に思っている様子でした。

 

 

しばらく話を聞いた後、私は、

「”普通”って、その人(当時のパワハラ上司)がそう言っているだけで、

本当にそれが”普通”かどうかはわからないと思いますよ」

と伝えたのですが。

 

それを聞いた相談者は、

「えっ、そうなんですか!?」

と、かなりビックリされたようでした。

 

その様子を見て、

私の方がもっとビックリしてしまったほどです。
(^▽^;)

 

 

 

 

実は私も、

自分が「普通」じゃないなと思う部分を、

「それではダメだ」ととらえてしまうタイプなので。

気持ちがすごくよくわかりました。

 

自分が「普通」ではないことに悩み、

「普通」になれば安心できる、

だから「普通」になるにはどうしたらいいのか、

そんなふうにもがいてしまう。

でも、その「普通」って、虚像だと思いませんか?

 

ちなみに、私は、

「自分は”普通”じゃないのかも」と不安になったときは、

それは誰が言ってる「普通」なのか、

ホントにそれが「普通」なのか、

と考えるようにしています。

 

そうすると、

「そんな得体のしれない”普通”に合わせようとしなくてもいっか~」

と、気持ちが切り替わるようになったんですよね。
(^▽^)

 

 

あなたが担当しているケースにも、

「普通」という虚像にとらわれている人がいませんか。

 

いったん、その「普通」って具体的には何なのか、

考えてもらうといいかもしれません。

 

誰が言っているのか?

どんな条件が揃えば「普通」になるのか?

具体的な条件をすべて備えている人が実際にいるのか?

 

「”普通”の人なんていないんだな~」と納得できれば、

ラクになって前向きな気持ちになれそうでしょう?
(^▽^)

 

 

 

 

健康相談の最後に、私は相談者にこう伝えました。

「その人が言っている”普通”と、

〇〇さんが思う”普通”は違っていてもいいんですよ」

と。

 

そして、相談者は、

ほとんどひとりごとのようにこうおっしゃっていました。

「そうなんですか。そうなんですね・・・」

と。