自分でいうのもなんですが、
私は昔から“聞き上手”でした。
(^_^;)
大学生のころから、仲の良い友人からも、
それほど交流があるわけではない友人からも、
悩みごとを相談されることが多かったです。
しかもなぜか、
私が最も縁遠かった“恋愛がらみのネタ”で(笑)
今思えば、私が縁遠いだけにいろいろ口を挟めなくて、
「ふ~ん、そうなんだね~」ってただ聞いているだけだったのが
よかったのかもしれません。
しかも、私はウワサ話に加わるのが好きではなかったので、
私の口から他の友人たちに話が漏れ広がる、
という心配もしなくてよかったでしょうし。
(^。^;)
「話を聞いてもらってすっきりした」
と言ってもらえたら、私も悪い気はしないので。
いつしか私は、
“聞き上手”が自分の持ち味だと思うようになりました。
ところが、業務として保健指導をやるようになったら、
この“聞き上手”が私の足を引っ張ることになってしまったんです。
まさかこんなことになるとは!
産業看護職として、
毎年同じような顔ぶれに保健指導をすることになって。
何度も顔を合わせて話をする機会があると、
お互いに打ち解けて話ができるようになりますよね。
それはそれで、ありがたいし、楽しいことでもあるのですが。
健診結果に基づいて保健指導をしたくてきてもらったのに、
延々とグチを聞く羽目になったり、
職場の悪口ばかりいう対象者に認知の偏りを指摘したら、
逆効果になってさらにヒートアップしてしまったり。
そんなふうに相手の話を一方的に聞くだけになってしまうケースに
手を焼くようになりました。
なかなか相手の話がとまらないのに、
保健指導の終了時間は迫ってくるし、
こちらの言いたいことはまだ何も話せていないし、
どうやって止めたらいいのかわからないし、
ムリに止めていいのかどうかもわからないし、
・・・・・・(>_<。)
そんなことに悩んでいるときに、
私は“傾聴”を知りました。
もう15年くらい前になりますが、
産業カウンセラー研修の講義で初めて知ったんです。
傾聴とは、
~~~~~~~~~
対象者の不満や個人的な問題などを単に聞いてあげることではなく、
相手の本質的な価値を心から認め、
相手を独自の存在として尊重するという心構えの問題であり、
その心構えのもとに傾聴の技法を用いること。
~~~~~~~~~
と教えられました。
産業カウンセラーのテキストには、傾聴の技法として、
~~~~~~~~~
- かかわり行動
- 簡単受容
- 場面構成
- 事柄への応答
- 感情への応答
- 意味への応答
- 要約
- 質問
~~~~~~~~~
という8項目が載っていました。
“傾聴”の講義を受けながら、
私はようやく腑に落ちましたね。
「私がそれまでやっていたのは相手の不満やグチをただ聞いていただけ」
だったということを。
相手の話を聴く心構えもなかったし、
技法を用いるわけでもなかったし、
ただ偶然に、
「相手に気持ちよく話してもらうことができた」
という“聞き上手”に過ぎなかったんだなって。
“傾聴”には、心構えが必要で、技法が必要です。
そこが単なる“聞き上手”との違いなんですよね。
ちなみに、“傾聴”ができるようになったら、
相手の話を聞くことに流されなくなりました。
相手の話をじゃましないように聴くと同時に、
全体の流れは「こちらがコントロールしている」
という感覚が持てるようになったんです。
そうすると、たとえば、
保健指導の時間全部を相手の話を聴くことに費やしても、
それを納得できるようになりました。
「何もできなかった、話を聞くだけで終わってしまった」
という無力感や後悔に悩まされることが減りました。
もし“聞き上手”が自分の持ち味だとしたら、
実は大きなアドバンテージですよね!
でもそれが「ちょっと足かせになっているかも」
と感じるなら・・・
“聞き上手”と“傾聴”の違いを
意識してみるといいかもしれませんよ。
(^_^)
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