保健指導にまつわるお悩みの一つに、
「保健指導したのに対象者の検査データが改善しない」
というのがありますよね。
特に、特定保健指導の場合には、
対象者の検査データの改善が大前提でしょうから。
それがうまくいってないのは由々しき事態です。
当事務所の保健指導通信講座では、
受講前に無料の個別面談体験がありまして、
その場でもよくこの話題が出ます。
もしかしてあなたも同じことをお悩みでしょうか?
では、すこし考えてみてほしいのですが。
もし、対象者の検査データが改善すれば、
いい保健指導ができたと満足できると思いますか。
ちょっと極端な例をあげてみます。
看護職が対象者さんに対してすごく高圧的な態度で、
問題点を容赦なくビシビシと指摘し、
このままでは命を落とすか寝たきりになると脅して、
とにかくこの改善策をやってくださいと押しつけた。
そんな保健指導をしたとします。
その結果、対象者さんが、
「こんな失礼なヤツに二度と会いたくない!」
と思って、発奮して、ガッツリ行動変容して、
見事に検査データが改善したら。
看護職としてはそれでOKなんでしょうかね?
保健指導やってよかったって思えるのかなぁ。
( ̄_ ̄;)??
保健指導は、専門職による指導・教育を提供する機会なので、
医学的に正しいとされていることを伝えるのは大事なことです。
そのために、新しい知識を集めたり、
新しい保健指導テクニックを取り入れたりして、
努力や工夫をするのも必要なことですよね。
でも・・・
努力しているのにうまくいかないことが続くと、
看護職自身がすごく苦しくなってしまいます。
そんなとき、ちょっと視点を変えてみたらどうかなと思うんです。
最近、マーケティングの入門本を読んでいて、
「やっぱりそうだよね~」と納得した話がありました。
“消費者の「ニーズ」ではなく「感情」を動かす”
というマーケティング手法があるそうです。
「自分の感覚をときめかせて、感情を揺り動かし、心を刺激するような経験価値」
が消費行動を左右するという考え方です。
かつて、消費者は「これが足りない。だから満たしたい」という
「ニーズ」によって消費行動をしているとされていましたが、
「人の感情を動かす経験価値が消費行動につながる」
ということなんですね。
では、その「経験価値」とはどんなものかというと・・・
たとえば、高級ブランドの商品に見出す価値とは、
品質とか商品そのものの価値だけではなくて、
もともとそのブランドに憧れていて、
がんばった自分へのご褒美という意味づけがあり、
節約しながら貯金してやっと手に入れられる達成感、
購入時にセレブ対応の接客を受けられる特別感、
手に入れたら毎日ワクワクできそうという期待感、
こんなふうにくっついているさまざまなことが、
「経験価値」なんだそうです。
人は、商品そのものの価値&「経験価値」によって、
その商品を購入しようとするんですね。
保健指導では商品を売っているわけではありませんが(笑)
「目に見えない商品を買ってもらうためにやっている」
と置き換えて考えてみると、
前からやってみたかった。
憧れる、素敵だと思う。
かっこいい、かわいい。
おもしろそう。
楽しみ、ワクワクする。
心地よい、落ち着く。
などなど、ポジティブな「経験価値」が、
対象者(消費者)の健康行動(消費行動)を促すきっかけとして、
使えそうだなと思いませんか。
対象者さんの「経験価値」になりそうなことを、
改善策(商品)にくっつけて提案できれば、
受け入れて(買って)もらいやすいかなって。
これがうまくいって、対象者さんが行動変容してくれたら、
検査データが改善する可能性も高まるでしょうし。
それに、保健指導にポジティブな「経験価値」があると、
私たち看護職も幸せな気分になれるんですよね。
「保健指導させてもらえてよかったな~」って。
(^_^)
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