保健指導で質問されたのに引き出しがなくて(後編)

 

 

今日は先週の記事の続きです。

前編はこちらをご覧ください。

保健指導で質問されたのに引き出しがなくて(前編)

 

ざっくりとしたあらすじはこちら
↓ ↓ ↓
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読者アンケートにこんなご質問をいただきました。

 

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保健指導をしていて、対象者から、

「他の人はどうやっているのだろう?」

と質問されたが、自分の“引き出し”が少なく、

ちょうどいい提案ができなかった。

“引き出し”が少ない場合、

増やすためにどういう工夫ができるでしょうか?

(一部筆者が改変)

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これに対して、私の考えを書かせていただきました。

 

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“引き出し”がなくてうまく答えられないのは、

経験や知識が足りないという理由だけではないので、

ベテランだって“引き出し”が足りないと思うことはあります。

 

つまり、“引き出しが足りないこと”そのものよりも、

そういう場面で、

“うろたえてプロらしくない行動をとってしまうこと”

が問題になっているのではないでしょうか?

 

対象者からの質問に、

「正確に、大量に、情報を提供する」だけなら、

AIのほうがよっぽど役に立ちます。

 

私たち看護職が保健指導をやるからには、

やっぱり情報提供だけで終わらずに、

その先に引っ張っていきたいですよね。

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ということで。

 

対象者の質問にピンポイントで答えられる“引き出し”がなくても、

そこで終わらせてしまわないで、

別の方向から効果的なアプローチができれば、

それでもいいのかなと私は思っています。

 

 

 

 

対象者さんが、

「他の人はどうやっているのだろう?」

と質問してくれたということは、

 

「自分がやるんだったらどうしようかな」

と、ぼんやりと考えている

 

ということだと思います。

 

それって、私たち保健指導をする側にとっては

すごいチャンスですよね。
(^▽^)

 

その“ぼんやり”した感じを“明確なもの”に変えられれば、

この対象者さんは行動変容するかもしれないですから。

 

もしこのとき、

幸いにも対象者の質問にうまく答えることができたら、

 

「しっかり情報提供できてよかった。ホッとした~」

って思います(笑)

 

で、その次はどうしましょうか?

 

質問にうまく答えたらそれで終わり、

でもいいんでしょうか?

 

それはちょっともったいないです。

 

先ほども言ったように、

対象者がぼんやりとでも行動変容する自分を想像し、

関心を持ったのだから。

 

私だったら、続けて、

“自己効力を上げるアプローチ”をして、

対象者の行動変容につなげたいなと考えました。

 

 

さて、では、もしこのとき、

「他の人はどうやっているのだろう?」

という質問にストレートに答えられない場合は、

どうしましょうか・・・

 

ちなみに、質問に答えることができても、できなくても、

それには関係なく、

“自己効力を上げるアプローチ”を行うことは可能です。

 

だから私は、“自己効力を上げるアプローチ”をやりますね。

それが、“このとき私にできること”だから。

 

そうすれば、対象者の質問にうまく答えられなくても、

別の方向から効果的なアプローチをしたことになる。

私はこういうふうに考えます。
(^_^)

 

 

 

 

「自己効力」のことはご存じですか。

行動変容理論の一つですね。

 

簡単にいうと「自己効力」とは、

「自分はできるという自信のこと」です。

 

そして、「自己効力」を上げるのに、

4つの情報源を使うと効果的とされています。

その4つの情報源とはこれです。
↓ ↓ ↓

 

 

 

 

 

 

 

 

例えば、

対象者(Aさん):ほかの人はどうやっているのだろう?

看護職:◎◎をやって成功した人がいます。
△△や◇◇も、挑戦して成功する人が多いですよ。
Aさんもこれならできそうだと思いますか?

 

というふうに答えた場合には、

4つの情報源のうちの2つ目「代理的経験」の情報を使って、

対象者の「自己効力」をあげようというアプローチを

したことになると思います。

 

では、“引き出し”がなくてうまく答えられなかったら・・・

私だったらこんなふうに対応するかな。

 

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まずは、

「すみません。私もそのことには詳しくなくて」

と、ごまかさないできちんと伝える。

 

次に、

「お時間いただけるならちょっと調べてみます。

わかったことをまたお答えしますね」

と、自分に無理のない範囲でできることを提案してみる。

 

続けて、

「ところで、他の人がどうやっているか気になるということは、

Aさんも、できそうならやってみようかと思ってらっしゃる

ということですよね」

と、対象者がぼんやりと感じていることを

明確に意識してもらえるようにする。

 

そして、

対象者から「うんまあ、そうだね」

という返事がいただけたらラッキー!

 

「では、どんな方法があるか一緒に考えてみませんか?」

と、具体的な方法を考えるという方向で話を進めていく。

__________

 

 

そしてその後の過程では、意識して、

対象者の“自己効力を上げるアプローチ”をやっていくわけです。

 

例えば「自己効力」の情報源を使って、

こんなふうに伝えてみます。

 

■ 自己の成功体験

「Aさんは〇〇に成功されてますよね。

そのときはどういうふうにやったんですか?

そのときの方法で今回も応用できることはありますかね?」

 

■ 言語的説得

「Aさんは〇〇に成功したときも

真面目にコツコツと取り組んでらっしゃいましたもんね。

すごいな~って思ってみてたんです。

きっと今回の△△も成功するだろうなと私は思ってますよ」

 

■ 生理的情動的状態

「〇〇にチャレンジしているとき、

すごく爽快な気分になったっておっしゃってましたよね。

今回も爽快感を味わえるようにがんばってみましょうよ」

 

 

こんなふうに対象者の「自己効力」を上げるアプローチなら、

質問にピンポイントに答える“引き出し”がなくても、

別の方向から効果的なアプローチができますよね。

 

少なくとも、

「わかりません、ごめんなさい」

で終わらせてしまうよりも、

専門家らしくアプローチできていると思いませんか?

 

 

 

 

こんなふうに・・・

 

あなたが保健指導でつまずいてしまうところを見直して、

あなたの得意なところをいかしながら構築し直し、

専門家らしい保健指導をつくっていく講座が始まります。

 

その名も、

_______________
<自分らしい保健指導>通信講座
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

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4つの企業で産業保健師として実務経験を積み、

試行錯誤しながら延べ7,000人以上の保健指導をおこない、

後輩産業看護職や看護学生の教育・指導にも関わってきた今田から

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ぜひ、講座のご案内ページをご覧くださいね。

 

*2019年11月のご案内&お試し相談の申し込みは終了しました。
次回の開講のご案内までお待ちくださいませ。

 

 

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