今日は先週の記事の続きです。
前編はこちらをご覧ください。
保健指導で質問されたのに引き出しがなくて(前編)
ざっくりとしたあらすじはこちら
↓ ↓ ↓
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
読者アンケートにこんなご質問をいただきました。
~~~~~~~~
保健指導をしていて、対象者から、
「他の人はどうやっているのだろう?」
と質問されたが、自分の“引き出し”が少なく、
ちょうどいい提案ができなかった。
“引き出し”が少ない場合、
増やすためにどういう工夫ができるでしょうか?
(一部筆者が改変)
~~~~~~~~
これに対して、私の考えを書かせていただきました。
~~~~~~~~
“引き出し”がなくてうまく答えられないのは、
経験や知識が足りないという理由だけではないので、
ベテランだって“引き出し”が足りないと思うことはあります。
つまり、“引き出しが足りないこと”そのものよりも、
そういう場面で、
“うろたえてプロらしくない行動をとってしまうこと”
が問題になっているのではないでしょうか?
対象者からの質問に、
「正確に、大量に、情報を提供する」だけなら、
AIのほうがよっぽど役に立ちます。
私たち看護職が保健指導をやるからには、
やっぱり情報提供だけで終わらずに、
その先に引っ張っていきたいですよね。
~~~~~~~~
ということで。
対象者の質問にピンポイントで答えられる“引き出し”がなくても、
そこで終わらせてしまわないで、
別の方向から効果的なアプローチができれば、
それでもいいのかなと私は思っています。
対象者さんが、
「他の人はどうやっているのだろう?」
と質問してくれたということは、
「自分がやるんだったらどうしようかな」
と、ぼんやりと考えている
ということだと思います。
それって、私たち保健指導をする側にとっては
すごいチャンスですよね。
(^▽^)
その“ぼんやり”した感じを“明確なもの”に変えられれば、
この対象者さんは行動変容するかもしれないですから。
もしこのとき、
幸いにも対象者の質問にうまく答えることができたら、
「しっかり情報提供できてよかった。ホッとした~」
って思います(笑)
で、その次はどうしましょうか?
質問にうまく答えたらそれで終わり、
でもいいんでしょうか?
それはちょっともったいないです。
先ほども言ったように、
対象者がぼんやりとでも行動変容する自分を想像し、
関心を持ったのだから。
私だったら、続けて、
“自己効力を上げるアプローチ”をして、
対象者の行動変容につなげたいなと考えました。
さて、では、もしこのとき、
「他の人はどうやっているのだろう?」
という質問にストレートに答えられない場合は、
どうしましょうか・・・
ちなみに、質問に答えることができても、できなくても、
それには関係なく、
“自己効力を上げるアプローチ”を行うことは可能です。
だから私は、“自己効力を上げるアプローチ”をやりますね。
それが、“このとき私にできること”だから。
そうすれば、対象者の質問にうまく答えられなくても、
別の方向から効果的なアプローチをしたことになる。
私はこういうふうに考えます。
(^_^)
「自己効力」のことはご存じですか。
行動変容理論の一つですね。
簡単にいうと「自己効力」とは、
「自分はできるという自信のこと」です。
そして、「自己効力」を上げるのに、
4つの情報源を使うと効果的とされています。
その4つの情報源とはこれです。
↓ ↓ ↓
例えば、
対象者(Aさん):ほかの人はどうやっているのだろう?
看護職:◎◎をやって成功した人がいます。
△△や◇◇も、挑戦して成功する人が多いですよ。
Aさんもこれならできそうだと思いますか?
というふうに答えた場合には、
4つの情報源のうちの2つ目「代理的経験」の情報を使って、
対象者の「自己効力」をあげようというアプローチを
したことになると思います。
では、“引き出し”がなくてうまく答えられなかったら・・・
私だったらこんなふうに対応するかな。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
まずは、
「すみません。私もそのことには詳しくなくて」
と、ごまかさないできちんと伝える。
次に、
「お時間いただけるならちょっと調べてみます。
わかったことをまたお答えしますね」
と、自分に無理のない範囲でできることを提案してみる。
続けて、
「ところで、他の人がどうやっているか気になるということは、
Aさんも、できそうならやってみようかと思ってらっしゃる
ということですよね」
と、対象者がぼんやりと感じていることを
明確に意識してもらえるようにする。
そして、
対象者から「うんまあ、そうだね」
という返事がいただけたらラッキー!
「では、どんな方法があるか一緒に考えてみませんか?」
と、具体的な方法を考えるという方向で話を進めていく。
__________
そしてその後の過程では、意識して、
対象者の“自己効力を上げるアプローチ”をやっていくわけです。
例えば「自己効力」の情報源を使って、
こんなふうに伝えてみます。
■ 自己の成功体験
「Aさんは〇〇に成功されてますよね。
そのときはどういうふうにやったんですか?
そのときの方法で今回も応用できることはありますかね?」
■ 言語的説得
「Aさんは〇〇に成功したときも
真面目にコツコツと取り組んでらっしゃいましたもんね。
すごいな~って思ってみてたんです。
きっと今回の△△も成功するだろうなと私は思ってますよ」
■ 生理的情動的状態
「〇〇にチャレンジしているとき、
すごく爽快な気分になったっておっしゃってましたよね。
今回も爽快感を味わえるようにがんばってみましょうよ」
こんなふうに対象者の「自己効力」を上げるアプローチなら、
質問にピンポイントに答える“引き出し”がなくても、
別の方向から効果的なアプローチができますよね。
少なくとも、
「わかりません、ごめんなさい」
で終わらせてしまうよりも、
専門家らしくアプローチできていると思いませんか?
こんなふうに・・・
あなたが保健指導でつまずいてしまうところを見直して、
あなたの得意なところをいかしながら構築し直し、
専門家らしい保健指導をつくっていく講座が始まります。
その名も、
_______________
<自分らしい保健指導>通信講座
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 自分の保健指導がこれでいいかわからない
- 他の看護職の保健指導から学びたい
- 知識やスキルが足りなくて不安が強い
- 保健指導における自分の専門性がよくわからない
- 業務の中ではスキルアップの機会がない
- 勉強したいが何をすればいいかわからない
- 対象者の拒否的な態度に委縮して必要な指導ができない
などなど、お悩みの産業看護職の方へ。
4つの企業で産業保健師として実務経験を積み、
試行錯誤しながら延べ7,000人以上の保健指導をおこない、
後輩産業看護職や看護学生の教育・指導にも関わってきた今田から
あなたにご提案があります。
ぜひ、講座のご案内ページをご覧くださいね。
*2019年11月のご案内&お試し相談の申し込みは終了しました。
次回の開講のご案内までお待ちくださいませ。
記事の更新をSNSでお知らせしています。