共感と受容はワナにもなる(前編)

私たち看護職が保健指導をするとき、

共感と受容は大きな武器になります。

 

「何を今さら・・・」と言われそうですね。
(^_^;)

 

今や看護学生がレポートに、

『対象者との信頼関係構築には共感と受容の姿勢が大事』

と書いてくるくらい、

看護の業界では浸透していることですから。

 

ただ、共感も受容も、

口でいうほど簡単じゃない、

と感じることありませんか?

 

私は産業看護職から保健指導に関連したお悩みやお困りごとを

ご相談いただくことがよくありますが。

 

それらの内容を少し脚色して、

よくある例をつくってみました。

 

産業看護職のAさんとBさんの

保健指導の一場面をご覧ください。

 

 

 

 

<産業看護職 Aさんの例>

*検査値改善のために、運動習慣づくりを勧めている場面

忙しくてずっと残業ばかりですよ。
いつも疲れがたまってる感じです。

そうなんですか。
大変ですね。

だけど運動やらなきゃだめなんですよね。
う~ん、時間もないし。
これ以上疲れることやるのはなぁ・・・

ああ、なるほど~。
時間もないし、これ以上疲れるのも
ちょっと気がすすまないんでしょうかね?

そうなんですよ。
それでも運動しなきゃいけませんか?

そうですね・・・
検査値が徐々に悪くなってきているので心配です。
改善するには運動習慣が必要だと思いますよ。

う~ん、そうなると、
もう睡眠時間を削るしかないんだよなぁ。

いえ、それはちょっとよくないですね。
睡眠時間は削ってほしくないです。

そうですよね、今でも睡眠時間足りないくらいなのに。
でもホントに運動する時間ないんで。
う~ん、困ったな~。

あぁ、そうなんですね。
確かに今は運動するのは難しいですね。

Aさんは、残業ばかりで疲れている対象者さんに対して、

共感を示していたのですが。

 

いつの間にか相手のペースに巻き込まれて、

今は運動するのは難しい(できなくても仕方ない)

という結論になってしまいました。

 

残念ながら、共感のワナに落ちてしまったようです。

 

 

 

 

<産業看護職 Bさんの例>

*体重を3kg減量するために取り組む行動内容を相談している場面

3ヶ月後の再検査までに
体重を3kg減らすよ。

それはいいですね。
では、そのためにどんなことをしましょうか?

そうだな~、
運動を増やすってのはどうかな?

それ、いいと思います!
具体的には何をしようと考えてますか?

昔、別の保健師に勧められて、
社食でお昼を食べてから居室に戻るとき、
遠回りして10分多く歩いてたんだよ。
またそれをやってみるかなぁ。

なるほど~、それはいいですね。
ぜひがんばってみましょう。
他にはどうですか?

う~ん。今いろいろ忙しいからな。
まずはそれをがんばってみます。

そうですか、忙しいんですね。わかりました。
では3ヶ月後の再検査まで、
昼食後の10分の遠回りを続けてみてくださいね。

Bさんは対象者自身の決定を尊重したかったので、

「わかりました」と伝えました。

 

しかし、内心ではこう思っていました。
 ↓ ↓ ↓
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

10分の遠回りだけでは減量目標の達成は難しいな。

本人が期待している体重3kg減を実現したいなら、

食事量を減らすことも必要なのに・・・

_______________

 

 

Bさんはこのことが引っかかって、

「これで専門家の保健指導といえるのだろうか?」

そんなモヤモヤが残ってしまいました。

 

受容のワナに落ちてしまったんですね。

 

 

 

 

保健指導において、共感と受容は大きな武器になります。

ところが、うっかりワナに落ちてしまうこともありますよね。

 

私も似たような経験がありすぎて(笑)

脚色したと言いつつ、

どちらの例もほとんど私の体験談です。
σ(^_^;)

 

AさんやBさんのお悩みに対して、

私が今はどんなことをお伝えしているのか。

 

次回の後編でお話したいと思います。

どうぞお楽しみに~♪♪

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