私たち産業看護職は、
保健指導や健康教育などの手段を用いて、
対象の個人や集団の健康度が上がるように
働きかけていますよね。
そのとき、
医学的な知識をわかりやすく説明すれば、
対象者は自分の健康に危機感を感じて、
健康行動を始めるでしょうか?
健康行動のやり方を詳しく教えれば、
自分もそれをやってみようと思って、
行動してくれるようになるのでしょうか?
「現実はそんな簡単な話じゃない」
( ̄ヘ ̄;)
・・・ですよね?(笑)
私たちがどんなに苦労して
わかりやすく病態を説明しても。
検査データが改善する健康行動のやり方を
どんなに詳しく教えても。
健康教育後のアンケートで、
「わかりやすい説明だった」
「今日はいいお話を聞けました」
と書かれていても。
それが健康行動にむすびつくことなく
終わってしまうケースのなんと多いことか。
( ̄▽ ̄;)
もし、そういうことで悩んでるなら、
健康教育を『マーケティング』の視点から
とらえてみてはいかがでしょう。
まずはこの引用をご覧ください。
看護学生向けの教科書に載っていたものです。
↓ ↓ ↓
人々が健康行動をとるのは、病気の予防というより、社会的圧力、経済性、利便性の影響が大きい。
(新体系看護学全書「公衆衛生学」第4版第5刷より)
禁煙や体重コントロールは人の目を気にするためであるし、バターからマーガリンへの切り替えが進んだのは動物性油脂の摂取を減らすというよりも、マーガリンのほうが安価で冷蔵庫で保存しても固くならないからであった。
(中略)
経済性、利便性の面から健康行動を普及させるのは商品の販売戦略と同じ方法であり、これがマーケティングである。
これを読んだとき私は、
「なるほど、そういうことだったのか」
って、妙に納得してしまいました(笑)
産業保健の分野でもずいぶん前から、
マーケティングの視点が注目されているので、
「何をいまさら」と思われた方も
いらっしゃるかもしれませんが。
私の場合は『マーケティング』と聞いても、
経済分野の用語というイメージが強くて、
産業保健とどのようにつながるのか、
いまいちピンときてなかったんですよね。
しかしこの説明によれば、
健康教育を『マーケティング』の視点からみたら、
病気の予防(医学的な知識)からだけでなく、
社会的圧力(人の目や罰則)を使ったり、
経済性・利便性(損得勘定)も含めて、
多面的にアプローチすれば行動変容がおこりやすくなる。
ということなんですよね。
そこのところを意識しつつ、
いつもの健康教育や保健指導を振り返ってみたら・・・
「はっ!」
Σ( ̄□ ̄lll)
となりませんか?
つい、目の前にある健診結果に気をとられて、
対象者の健康問題ばかりが目について。
「運動すれば血糖値がよくなりますよ」とか、
「血圧を下げるために体重を減らしましょう」とか。
病気の予防の面からのアプローチに偏ってたかもって。
健康教育に『マーケティング』を取り入れる、
そう考えると難しいことのような気がしますけど。
たとえば、経済性・利便性の訴求ポイントは、
『お得感』だと思うので(笑)
まじめに病気予防の話ばかりするんじゃなくて、ときには、
「運動すると(こんなことが)お得ですよ~」
(^▽^)/
みたいなノリで健康行動をおすすめする。
これでもとりあえず『マーケティング』入ってます(笑)
手っ取り早く、簡単に、すぐにやれる部分から、
やってみるのもアリでしょう?
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