保健指導で質問されたときのひと工夫

 

保健指導や健康相談などで,

対象者と話をしているときに、

対象者から質問を受けることがありますよね。

 

産業看護職として、

 

そういう質問に的確に答える自信がなくて、

保健指導に苦手意識がある、

という声をよく聞きます。

 

質問に的確に答えられたのかどうかわからなくて、

保健指導の後もモヤモヤが残ってしまった、

という声もよく聞きます。

 

対象者から質問されてどのように答えるかって、

意外と大変なことなのかもしれませんね。

 

 

 

 

質問への答えやすさという観点から、

勝手に3つのパターンに分けてみました。

 

① 簡単に結論を出すことができない難しい問題についての質問

 

例えば、どの選択肢にも一長一短があるのに、

どれか一つを選ばなければいけないとき。

どの主張にも一理あって、

それがよいとか悪いとか一概には判断できない場合など。

 

 

② 自分が知らない内容についての質問

 

答え方を失敗すると、専門家として知識不足を

露呈することになってしまうかもしれないとき。

質問に答えられないことを、

恥ずかしい、情けないと思ってしまうので、

何と答えればいいか迷う。

 

 

③ 自分が自信をもって答えられる内容についての質問

 

 

このうち、今日は、

3つ目の「自分が自信をもって答えられる質問」

に答えるときの“ひと工夫”をご紹介したいと思います。

 

 

自分がよく知っている・知識をたくさん持っている内容について、

質問をいただくと、思わずうれしくなって、

食いつき気味に答えてしまうこと、ありませんか(笑)

 

「待ってました!」とばかりに、

自分の持てる限りの知識を披露したり、

聞かれている以上のことまで延々と解説をしたりとか。

 

まあ、私がそうなりやすいんですけど。
(^▽^;)

実はそれで行き詰ったりもしていました。

 

 

例えば、

回答が「YesかNo」で終わるようなときは、

こんなパターンによく陥ってましたね~。

 

対象者:〇〇なんですか?

看護職:そうですよ、その通りです。

対象者:わかりました。ありがとうございました。

看護職:はい。他に聞きたいことはありますか?

対象者:他には・・・、ありません。

 

 

「質問 ⇒ 即回答」、「YesかNoで答えて終わり」

というパターンになってしまって、

質問に答えたら、そこで会話が終わってしまうんです。

 

会話のテンポが速く進みすぎてしまうので、

対象者も看護職もお互いに、

次の話題を考える余裕がないからなんでしょうね。

 

それで、

次はなんの話をしようかと焦りながら話題を探したり、

とりあえず話が途切れて気まずくならないように

当たり障りのない話をしてしまったり。

 

でも、それってちょっともったいないですよね。

 

 

質問してくれたということは、対象者は

「その話題について関心がある、興味がある、何か引っかかっていたことがある」

ということなので。

 

対象者の側には、

質問内容に関連した知識を吸収する準備ができています。

 

だったら、対象者が質問してくれたこのチャンスを、

正しい知識を得てもらう機会にできたらいいなって思うんです。

 

 

 

 

そこで私がやっているのが、

質問をされてもすぐに回答しない、

ということです。

 

自分が知っている内容や自信をもって答えられる内容の質問を受けたときに、

うれしくなってすぐに結論を伝えたくなるところを、

ぐっと我慢するんです。
(^_^;)

 

そして、代わりに、

「そういうことが気になっているんですね」

とか、

「なるほど。大事なところに気づいてくださってますね~」

などいったん受け止めます。

 

それから相手に質問します。

例えば、

 

「それはどうしてですか? 何か理由があるんですか?」

「具体的にはどういうことでしょうか?」

「以前にもありましたか?(聞いたことがありますか?)」

「そのことに関して何か知っていることはありますか?」

 

 

これは、対象者がその質問をしてきた理由・背景や、

現時点の知識量などを知るためにおこなっています。

 

だから、相手を理解したいという気持ちをもって、

その気持ちが伝わるように質問しています。

 

対象者は、質問を受けるとそれに答えるために、

いったん自分で考えますよね。

そのとき自分自身を振り返ることになるので、

考えが深まるきっかけになります。

 

そうすると、

「ああ、ほんとに知りたかったのは、こっちのことだったんだっけ」

みたいな、思わぬ気づきが出てきたりするんですよね。

 

 

例えば、保健指導中に対象者から

「ビタミンのサプリメントを飲んだ方がいいですか?」

という質問を受けました。

 

そのとき看護職としてどういうふうに答えますか?

 

「普通に野菜を食べていれば、特に必要はありません」

と答えるか、

「サプリメントに頼らずに、野菜を毎食食べるようにしたほうがいいです」

と答えるか、

「気になるならサプリメントで補給してもいいと思いますよ」

と答えるのか。

 

「質問 ⇒ 即回答」のパターンだと、

どの答えが適切なのかって判断しにくいです。

 

 

ちなみに私は、

「この人はどうしてビタミンのサプリメントの話を持ち出してきたのか?」

という背景のほうが気になるので、

こういうときは相手に質問してみます。

 

すると、

「食事が不規則でバランスがよくないと思うから」

とか、

「ダイエットで食事量を減らしているが、そうするとビタミン不足になると聞いたから」

とか、

「昨日のテレビでビタミンをとったほうが体がさびないと聞いたから」

とか、

「野菜が嫌いだから、サプリメントを飲もうかと思ってる」

とか、

「家族から体にいいといわれて飲まされているが、自分は飲みたくないから」

とか。

 

その理由はもうホントに、バラバラです(笑)

 

その背景によって、

相手にとって必要な答え方って変わると思うんですよね。

 

 

からだにいいことをしたいという動機なら、

「サプリメントよりも実際の食事バランスとか野菜の摂取を心がけてほしいです」

と答えるでしょうし。

 

別にどうでもいいけどなんとなく飲んでいるというなら、

「やめてもいいんじゃないですか」

って答えたくなるし。

 

野菜を食べる気はさらさらなくて、

サプリメントが唯一の選択肢だというなら、

それを全面否定するんじゃなくて、

「当面、サプリを使ってみましょうか」

っていう答えもあるかも。

 

 

 

 

ちなみに、この方法は、

2つ目の「自分が知らない内容についての質問」

を聞かれて困ってしまうパターンでも使えます。

 

対象者:〇〇ですか?

看護職:ごめんなさい、それ、私もよく知らないんです。

対象者:そうですか・・・

 

って終わってしまうところを、

 

対象者:〇〇ですか?

看護職:〇〇のことが気になっているんですね。それはどうしてでしょうか?

対象者:実は・・・

 

というふうに、話を深めていくきっかけにすることもできます。
(^▽^)

 

そうやって、理由や具体的なところを聞きとって整理していくうちに、

相手が自ら気づきをつかみ取ってくれたらありがたいですよね。

 

私たちのほうから、

ドンピシャの回答は無理でも、

ちょっとヒントになりそうなことくらいは

お伝えできるかもしれません。

 

 

 

 

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