保健指導の目標が対象者の気持ちにあっているか?

 

 

私たち産業看護職が保健指導を行うとき、

対象者の健康保持増進のための目標を、

本人と相談して決めることが多いですよね。

 

あなたも専門家として、様々な情報を集め、アセスメントして、

目の前の対象者にとって最も良い(ふさわしい)目標を提案できるように

努力していらっしゃると思います。

 

例えば、メタボ体型の高血圧の方だったら、

 

「塩分チェッカーを使って、一日の塩分摂取量を6gまでに抑えましょう」

とか、

「体重を減らして、来年の健診では血圧を基準値の範囲に戻しましょう」

とか、

「毎日、血圧と体重を測って、記録に残しましょう」

とか。

 

そんなふうに目標を提案しているんじゃないでしょうか。

 

 

ところで、それは対象者の気持ちにあっている目標でしょうか?

 

こちらは一生懸命考えてアプローチしたのに、

対象者の気持ちとミスマッチしていたら、

それはお互いにとって不幸なことですよね。

 

 

今日は、それについてちょっと例え話をしてみたいと思います。

 

 

 

 

休日にくつろいでテレビを見ていたら

「おいしいイチゴのショートケーキ特集」という番組をやっていました。

 

それによると、世界で一番おいしいのは、

パリのシャンゼリゼ通りにあるパティスリー(A店)の

イチゴのショートケーキなんだそうです。

さすが、世界一に選ばれただけあって見るからにおいしそうです。

 

番組では、「そうは言ってもパリは遠すぎますよね」ということで、

次に東京のB店を紹介していました。

その店にはパリのA店で修業したパティシエがいて、

パリのA店の味を再現したイチゴのショートケーキを売っているんだそうです。

レポーターがおいしそうに食べていました。

 

続いて番組では、

「国内には他にも、イチゴのショートケーキがおいしいと

評判のお店がいくつもあるんですよ」

と言って、国内にある数軒のお店を紹介していました。

するとその中の一軒(C店)が隣の市にあるということがわかりました。

 

 

さあ、あなたなら、

「おいしいイチゴのショートケーキを食べたい」ときに、

この中のどのお店に買いに行きますか?

 

パリのA店?

東京のB店?

隣の市のC店?

 

ちょっと考えてみてください。

 

 

 

 

ちなみに私の場合は、地方在住なので、

パリも、東京も、

「ケーキを買いに行くのは無理かな~」と思ってしまいます。

 

かといって、

「絶対に! 確実に! 間違いなく!

おいしいイチゴのショートケーキを食べたい!」

という気持ちになったら、

隣の市のC店のケーキではきっと満足できないと思うんですよね。

 

というわけで、

口では「おいしいイチゴのショートケーキが食べたい」と言いながら、

どこの店に買いに行くかも決められず、

結局、どこの店にも買いに行かなかったら、

私はおいしいイチゴのショートケーキを食べることはできないでしょう。
(>_<。)

 

 

つまり、私が、

「おいしいイチゴのショートケーキを食べたい」という願望を満たし、

おいしいケーキを食べるという結果を手に入れるためには、

≪ケーキを買いに行く≫という行動が必要になるわけです。

 

 

では、このときの私が、

≪ケーキを買いに行く≫という行動をとれるように、

どんなアプローチをしてみましょうか?

 

 

例えば、

「確実においしいイチゴのショートケーキを食べたいなら、

やはりパリのA店に行って世界一のケーキを買わなくちゃ

意味がないですよ」

と説得してみますか?

 

私:「そりゃそうかもしれないけど、現実的に考えたら、

ケーキのためにパリに行くなんて無理でしょ」

と、検討すらしないと思います。

 

 

あるいは、

「隣の市のC店なら近いですよね。

確かに世界一にはかなわないでしょうけど、

C店のケーキだってそれなりにおいしいと思いますよ」

と勧めてみますか?

 

私:「それなりにおいしいレベルのイチゴのショートケーキなら、

別にわざわざ買いに行くほどでもないか」

と気持ちが冷めてしまうだろうな~。

 

 

それじゃあ、

「東京のB店のイチゴのショートケーキは

パリのA店の味を再現しているそうですよ。

東京なら新幹線で2時間くらいで行けますね」

と勧めてみたらどうなるでしょうか?

 

私:「へーそうなんだ。世界一の味と同じケーキが東京でも手に入るのか。

新幹線で2時間は遠いけど、行ってみるのもアリかもな」

と、心が動きそうです。

 

さらに

「新幹線の往復割引チケットがあるんですよ。

駅前のチケットショップで手に入りますし。

B店は東京駅から徒歩で行けるので。

地図をお渡ししましょうか?」

と畳みかけられたら・・・

 

私:「じゃあ、行ってきます!」

と思わず答えてしまいそうです(笑)

 

 

 

 

保健指導の場面でも

同じようなことが起こっていると思うんですよね。

 

専門家としての判断で良かれと思って、

パリのA店を強力に勧めたり。

 

せめて隣の市のC店くらい近ければ行ってくれるに違いないと期待して、

C店のことばかり説明したり。

 

東京のB店なんてどっちつかずで意味がないと勝手に判断して、

最初から選択肢にあげることもしなかったり。

 

ところが、

A店やC店をお勧めしても渋い顔だったのに、

何気なくB店の話を始めたら、

こちらは大したことを言ったつもりもないのに相手がすごく乗り気になって、

ビックリさせられたりして。

 

もしかしたらそれって、

対象者自身もはっきりつかんでいない気持ち、

無意識に何となく感じている願望が

刺激されたからなのかもしれません。

 

 

お店(目標)は一つだけとは限らないです。

常に、誰にとっても、

『世界一おいしいケーキが食べられるお店(目標)が一番いい』

とは言えないのが難しいところです。

 

 

対象者が≪ケーキを買いに行く≫という行動を起こせるのは、

どのお店なのか。

 

それを見極めて、

そのお店に行くために必要な情報(行き方、営業時間など)や、

役に立つ情報・ツールなど(写真を見せる、地図を渡すなど)を

提供してあげられたら。

きっと役に立つだろうし、喜ばれると思います。

 

そうしたら、

対象者は≪ケーキを買いに行く≫という行動をとってくれるかな。

そうだといいんだけどな~。
(^_^)

 

この先は相手次第でもあるので。

私たち産業看護職は温かく見守っていきましょう!

 

 

 

 

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