気軽に利用しやすい健康管理室のつくり方

 

 

これを読んでくださっている産業看護職の多くが、

健康管理室とか健康管理センターとか(名称は様々ですが)そういう部屋があって、

そこで保健指導や健康相談などの日常業務を

おこなっているんじゃないかと思います。

 

そして健康管理室は、

従業員さんが健康のことなどで困ったときに

気軽に相談に来てもらえる存在でありたい、

と思ってらっしゃいますよね。

 

そのために例えば、

 

健康管理室を従業員さんが利用しやすい場所に設置するとか、

健康管理室の利用日や時間を増やすとか、

健康管理室新聞などを発行して存在をPRするとか・・・

 

いろいろな工夫をされているでしょう。

 

私もたいしていい案を思いつきませんでしたが(笑)、

それでもいろいろ工夫してやっていました。

 

その中で、私の個人的見解で”最も効果的だった”と

実感している方法があります。

 

それは何かというと・・・

 

「事業場の従業員全員に保健指導をする」

という方法です!
(^▽^)

 

 

 

 

保健指導は一般的には

「健診結果が悪い人が呼び出されるもの」とか、

「健康に何か問題がある人が受けるもの」とか、

そういうイメージで受け取られているように思います。

 

私自身も長いことそう思いこんでいました。

だから、健診結果とか、自覚症状とか、年齢とか、所属とか、

いろんな項目で基準をつくって、

保健指導の対象者になるか・ならないかの線引きをしていました。

 

でも、保健指導って健康な人に実施しちゃいけないわけじゃないですよね。

 

というか、保健指導は、

「自分の健康と生活習慣について理解と関心を深めて、

必要な健康行動を選択できるように支援する機会」なんだから、

全員にやった方がいいよなと思うようになりました。

 

というわけで・・・

 

従業員数が300人を少し超えるくらいの事業場を担当することになったとき、

私は思い切って事業場の従業員全員に保健指導するようにしてみました。

 

そうしたら、始めてから2年目にして、

早くもいろんな変化を感じるようになったんです。

 

例えば、管理職が部下を健康管理室へ送り出してくれるようになりました。

 

 

≪ケース1≫

入社2年目の20代女性のUさん。

Uさんはその部署の正社員の中で唯一の女性社員です。

 

Uさん以外の女性はベテランの派遣社員ばかりで、

Uさんは派遣社員さんたちと分担して仕事をしています。

 

Uさんは正社員の自分が責任をもって、

派遣社員さんたちに指示をして仕事を進めていく立場だと考え、

がんばっていました。

 

しかしベテラン派遣社員さんたちは

「今までこうやってきたから」

と自分たちのやり方を変えようとしてくれません。

 

しかもUさんのことを

「経験もないくせに生意気だ」と話しているのを

Uさんが聞いてしまい、

険悪な空気が漂うようになっていたらしいです。

 

派遣社員との仕事の分担について上司と打ち合わせをしていたとき、

Uさんは感情が高ぶって泣き出してしまいました。

 

すると上司はこう言ったんだそうです。

「今田さんに話を聞いてもらって、気持ちを落ち着けてきなさい」と。

 

そう言われてUさんは健康管理室へやってきました。

 

 

≪ケース2≫

開発部門の20代男性のSさん。

担当しているプロジェクトが遅れていて過重労働になっていたとき、

初めてパニック障害の発作を起こし、健康管理室で対応しました。

 

その後Sさんは心療内科で内服治療が始まりましたが、

数日で症状がなくなり、勝手に薬をやめてしまっていたのです。

 

上司との打ち合わせ中に、上司から体調に関して聞かれたSさんは、

症状がなくなったので薬をやめたことを話しました。

 

すると上司はSさんに

「すぐに今田さんのところへ報告に行きなさい」

と指示したそうです。

 

そこでSさんが健康管理室へ状況を報告しに来てくれました。

 

 

この2つのケースはもしかしたら、

この程度で健康管理室を利用するのは大げさだ、

と感じるような出来事かもしれません。

 

実際、私が全員に保健指導を始める前には、

こういう出来事があっても、

健康管理室へ部下を送り出してくれる管理職はいませんでした。

 

後々になって、もうちょっと大ごとになってから

健康管理室へやってくるケースばかりです。

 

そこで「実は前にこういう些細な出来事があった」という話を聞いて、

「だったらそのときに健康管理室へ来てくれればよかったのに」

と思うことが少なくありませんでした。

 

 

もちろん、管理職がタイムリーに部下を健康管理室へ送り出してくれたのには、

様々な理由があったと思いますが。

 

私はその一つとして、

「上司も部下も、年に1回は健康管理室で保健指導を受けているから、

健康管理室に抵抗感がなかった」

という理由もあると思っています。

 

人は、それほど切羽詰まっているわけではないけど、

ちょっと相談してみたい・話を聞いてほしいというときに、

知らない人に相談するのはためらいがありますよね。

 

でも、多少なりとも自分が知っている人・自分のことを知っていてくれる人には、

ちょっと相談してみようという気持ちになりやすいと思います。

 

事業場の従業員全員に対して年に一回、

健診結果に異常値があろうがなかろうが、

健康管理室に来て保健指導を受けてもらうようにしたことで、

健康管理室がどんなところか、

保健師の今田がどういう人なのか

従業員はみんな知っています。

 

だから、

上司は些細な段階でも「今田さんのところへ行ってきなさい」と部下を送り出してくれて、

そう言われた部下も抵抗感なく健康管理室へ来てくれたのではないかな、と。

 

これは全員に保健指導をしているメリットだよなぁとしみじみ思いました。

 

これ以外にもメリットだと感じたことはたくさんあって、

ぜひご紹介したいのですが長くなりすぎるので今日はやめておきます。
(^_^;)

 

 

 

 

「全員に保健指導? 忙しくてとても無理」
( ̄_ ̄;)

という現実もありますよね。

 

でもやっただけの効果が手に入りますから、

だまされたと思って(笑)、

チャレンジしてみてください。

 

全員に20分とか30分、きっちり保健指導をする必要はないです。

健診結果に問題がなくて、

本人が心配していることも特になければ、

5分でも10分でも構いません。

 

話題だって本人の健康面だけにこだわらず、

例えば、

どんな仕事をしているのか、

仕事の大変なところは何か、

仕事に対してどんな思いを持っているか、

職場の雰囲気はどうか、

職場のメンバーで体調などが気になっている人はいるかなど、

雑談交じりにいろいろ情報収集させてもらってもいいですよ。

 

私はこれで、

従来なら保健指導の対象外だった人の中で、

メンタルヘルス不調を起こしかけていたケースを

3名早期発見・対応できました。

 

あるいは復職支援など別件の業務でも、

保健指導でたくさん情報を蓄積してあるので、

新たな情報収集の時間が少なくて済みます。

 

そのうえアセスメントや判断で悩むことも減るので精度があがりますから、

結局は業務がスムーズにいくようになりますよ。

私はそう実感しました。

 

気軽に利用しやすい健康管理室にするために、

「事業所の従業員全員に保健指導をする」

こんな方法もあります。

 

個人的には超おすすめです!
(^▽^)/

 

 

 

 

P.S.

私は昔、

保健指導は健康状態に問題がある人にしかやらない(やってはいけない)と思い込んでいました。

単に私が勉強不足でそう思い込んでいただけですけど。

 

だから、事業場の従業員全員に保健指導をやっている看護職がいるということを知ったときは

ホントにびっくりしました。

「えっ、全員にやってもいいものなの?」って(笑)

 

でもそれを知った当時は、私は保健指導が苦手で、

できることならやりたくないとすら思っていたので、

とても全員の保健指導をやろうなんて考えませんでしたけど。
(^_^;)

 

もしかしたらあなたも、

「全員に保健指導する時間を確保できそうだけど、

実は保健指導が苦手なので気が重い」

そんなふうに感じてしまうとしたら。

 

その苦手意識を解消できたらいいな~って思いませんか。

 

ピュア産業看護事務所ではそんなあなたのお役に立ちたくて、

新しい通信講座を準備しています。

もう少しでご案内できると思いますので、少々お待ちくださいませ。

 

それまで、こちらはいかがでしょう。けっこう好評です(笑)
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