インフルエンザが流行していますね。
今シーズンは例年よりも早い時期から急速に流行が広がって、
すでに全国的に「警戒レベル」になっているそうです。
インフルエンザ予防には、
- 人混みを避ける
- うがい・手洗いをまめにする
- マスクをつける
- 部屋の湿度を50%程度にする
- 栄養・水分・休養をしっかりとる
などが大事です。
・・・と、”あたり前”すぎるアドバイスを聞いて、
あなたはどう感じましたか?
「そんなの知っているし」とか、
「もうちゃんとやってますから」とか、
「もっと新しい情報をききたかった」とか、
でしょうか?
私たち産業看護職の主な業務に「保健指導」があります。
看護職と対象者が1対1の面談形式で、
健診結果の説明をしたり、
生活習慣改善指導をしたりするパターンが多いですよね。
そのとき、自分がアドバイスしている内容を、
相手はどういうふうに受け取っているのか、
気になってしまうこと、ありませんか?
「そんなこと、いまさら言われなくても知ってるよ」
って、思われてたらやだな~とか。
ちなみに、私はけっこう気になるタイプです。
(^▽^;)
例えば、メタボ体型で高血圧の方には、
食事の量や内容の偏りに気をつけるとか、
運動量を増やすとか、
毎日体重を測って記録するとか、
そういうアドバイスをするのですが。
前の対象者にアドバイスしたのとほとんど同じ内容を、
次の対象者にも話しているようなことってありますよね。
「デジャブ?」と勘違いするくらい・・・
(^_^;)
それこそ”あたり前”すぎるアドバイスを伝えています。
そうすると、心配になってしまうのですよ。
こんな”あたり前”の話じゃ相手には響かないだろうなぁ、とか。
「え~、そんなあたり前のことじゃなくて、もっと新しい情報はないの?」って、
思われてるんだろうなぁ、とか。
”あたり前”のことしか言えない自分は専門職として情けないなぁ、とか。
でも、本当にそうでしょうか?
保健指導で”あたり前”のことを伝えるのは、
意味がないことなのでしょうか?
実は先週、この答えを見せつけられたエピソードがありました。
ご紹介しますね。
うちの母は、数年前にちょっと特殊な病気にかかって、
東京の病院で手術を受けました。
術後はおかげさまで経過良好ですが、
現在も経過観察の検査と診察を受けるために、
6か月ごとに東京の病院へ行っています。
とはいえ、
普段の活動範囲が「居住地である磐田市内だけ」
という後期高齢者の母にとっては、
一人で新幹線に乗り、
東京駅で中央線に乗り換えて、
新宿駅からバスに乗って病院へ行ってくる、
というのは、
大冒険みたいなもんなんです。
毎回、けっこう緊張しながら、
この大冒険に出かけて行ってます(笑)
そして今月もまた、
東京の病院に出かけることになっているのですが。
それとは別に、高血圧の治療のために近所の内科医院へも通院していて。
先週、その内科医院へ行ったら、
そこの主治医からこう言われたんだそうです。
「インフルエンザが流行っているから気をつけてよ。
東京行って、電車や病院でうつされてこないようにね。
手洗いとマスクをしっかりやって。
マスクは一度外したら、それ使っちゃダメだよ。
マスクにウィルスがついているから。
毎回、新しいマスクを使えるように、何枚か持っていくようにね。
気をつけていってらっしゃい」
その日、母は、
家中のマスクを集めるかの勢いで、
マスクを準備してました(笑)
それまでも、
テレビニュースなどでインフルエンザ流行の話題をさんざん目にしてきて、
予防対策のことも聞いていたはずです。
「うがい、手洗い、マスク」という”あたり前”のことを、
いまさら知ったわけでもありません。
それでも、母がマスクを何枚も、
(なんと使い終わったマスクを入れるごみ袋までも!)
バッグに入れて準備万端整えたのは、
主治医がその”あたり前”のことを母に話してくれたおかげなんですよね。
「あなたに必要だから、この話をしているんだよ」
という気持ちで先生が話してくれているのが母に伝わったから、
こんなに”あたり前”すぎるアドバイスなのに、
無視したり、バカにしたりしないで
母はさっそくマスクを準備したんだと思います。
もしあなたが保健指導で対象者にアドバイスを伝えるときに、
「こんな”あたり前”の話をしても、きいてもらえないかもしれない」
そんなふうに恐れているとしたら。
保健指導で”あたり前”のことを伝える理由を、
その意味を、
一度振り返ってみるといいかもしれません。
保健指導のたびに
「初めて聞くような新しい情報を用意しなくちゃ」
と焦るよりも、
相手に、
「あなたにとって本当に必要な話なんです。だから専門職の私がこの話をしているんですよ」
ということがきちんと伝わる工夫を考えたほうが建設的ですよね。
母のことを心配してマスクの話をしてくれた主治医に感謝しました。
「いい先生だね~」と言うと、母もうれしそうでしたよ。
東京の病院へ行くのはあさってですが、
気をつけて行ってきてほしいです。
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