同じ人に毎回同じ話をするのは苦痛

 

今年度は、保健指導に苦手意識を感じている産業看護職の方を対象に、

保健指導をテーマにしたセミナーを何回か開催してきました。

 

参加者のみなさんには、

「保健指導の何が苦手なのか」とか

「どうして苦手だと思うのか」などについて、

考えてもらっていますが。

 

その内容を教えていただくと、だいたい同じような答えが返ってきます。

それに対する私の反応は、

「それ全部、私もそうなんですよ~。お気持ち、よくわかります~」

って感じです(笑)

 

 

今日はその中の一つ、

「毎年、同じ人を保健指導に呼びだして、毎回、同じような話をするのが苦痛」

という苦手意識に対して、

今田流の対策をご紹介したいと思います。

 

 

 

 

保健指導の対象者って、だいたい毎年、同じような顔ぶれになりますよね。

名前を見ただけで、去年の保健指導の場面が思い浮かぶ人も少なくないです。

 

いやいや、それどころか、

おととしのも、そのまた前の年のも、次々思い出してしまって。

正直、ため息をつきたくなる対象者さんもいました。

私には。
(^_^;)

 

このとき、私は

「毎年、保健指導に呼びだされて、毎回、同じような話を聞かされるのは迷惑なんだろう」

と思っていました。

そう思うともう、何を話せばいいのかわからなくなってしまったんですよね。

 

それから

「他の看護職はうまくやっているのに、私はうまくできなくて、相手に申し訳ない」

っていう感情もありました。

 

つまり、この苦手意識の全ては自分の実力不足なんだと・・・

 

 

しかし、これを視点を変えてとらえてみると。

迷惑に思ってるのはお互い様なんですよね(笑)

 

それに、ベテラン保健師の友人に聞いてみたら、

「私も、今度は何を話そうって困ることあるよ」

と言われて、安心しました。
ε=(^。^;

 

他の看護職もそう思っているなら、仕方ない。

それなら、自分の経験をもとに私なりに対策を考えてみよう。

 

ということで、まとまったのが以下の3つの方法です。

 

=====

①恒例行事にしてしまう
②先に謝ってしまう、先に許可を得る
③傾聴、共感に徹する

=====

 

 

①恒例行事にしてしまう

毎回呼び出すことを申し訳なく思うのではなく、

むしろ、逆手にとって、恒例行事という位置づけにしてしまうのです。

 

毎年、あるいは毎月、呼びだされるのを、

「ありがた迷惑」ではなくて「迷惑だけどありがたい」、

と思ってもらえるようになったら、

お互いにとって理想的ですよ~。

 

これについて、印象的な経験談があります。

私が、労働者が300人くらいの事業場で健康管理室を立ち上げたときのエピソードです。

健診の後、全員に保健指導をするシステムにしました。

まったく所見のない人も健康管理室へ来てもらって、

個室で保健指導をやりました。

 

最初のころは、

「健診結果も異常なしなのに、なんでこんなの必要なの」

という反応の人が多かったんですけど。

3年目になったころには、

「そろそろ呼ばれるころだと思って、ここで聞こうと思ってたんだよね」

と言って、気になっている症状について質問されることが増えたんですよね。

 

それどころか、労働者の方から

「僕はいつ呼んでもらえるの?」

って問い合わせまで来たりしました。

 

こんなふうに、恒例行事になってくると、

「忙しいのに呼び出されて迷惑ではあるけれど、でもありがたい時間でもある」

ととらえてもらえるようになってきます。

そうなると、毎回呼んでも話しやすい雰囲気になりますよ。

 

 

②先に謝ってしまう、先に許可を得る

毎年、毎回、呼び出して申し訳ないなと、

こちらも思っているわけですから、

先に謝ってしまうという方法も使えます。

 

「いつも同じような話ですみません」とか、

「毎回しつこくてごめんなさいね」とか。

 

こちらの申し訳なく思う気持ちを正直に相手に伝えると、

まずは、自分の気持ちを落ち着けることができます。

 

私の場合は、それに続けて

「今日もまた、ちょっと、お話しさせてもらってもいいでしょうか?」

と、相手に聞きます。

そうすると、たいていの方は、

「ん~、まあいいけど・・・」って、許可してくれますので。

そうしたら話を進めます。

 

相手も自分が許可した手前、

その話はもう聞き飽きたと思っていても、

おとなしく聞いてくれてます(笑)

 

それに、一度聞いただけで、全部を理解できている人は少ないですから。

去年と同じ話でも忘れてしまった内容もあるでしょうし。

内心で「おお、この話は、忘れてたな」と思いながら、

聞いてくれてるかもしれませんしね。

 

 

③傾聴、共感に徹する

相手によっては、こちらの話をシャットアウトしてしまう人もいますよね。

そういう態度や雰囲気のときは、

私は潔くあきらめます(笑)

 

その代わり、相手にいろいろと問いかけて、

相手に話をしてもらうようにしています。

 

保健指導に呼びだしたのに、

こちらから指導内容を伝えないなんてありえないと思いますか?

 

私は、こういうのもありだと思うようになってから、

保健指導の苦手意識がだいぶ軽くなりましたよ。

 

例えば、

「去年もここでお話しさせていただきましたよね。何か覚えてらっしゃることはありますか?」

と切り出して。

 

それについて、

どんな内容を覚えていたか、

改善行動をやってみたか、

やってみて困ったことはあったか、

やらなかった(途中でやめてしまった)のはどうしてか、

そのことをどのように感じているか、

などなど。

 

とにかく相手に話してもらうことを第一にして、

私は傾聴に徹します。

そして一段落したらこう伝えます。

 

「私にも何かお手伝いできることがありますか?」

「今日はここまで来ていただいたので、私も少しでもお役に立ちたいなぁと思っているのですが」

と。

 

もし、相手が要望を言ってくれれば、それに応えようとしますし。

相手に拒否されたら、

「じゃあまた、お手伝いできることがあれば教えてくださいね」

と言って、さらに突っ込むことはしません。

 

この方法でも、少なくとも情報収集はできるので、

次回の保健指導のアプローチ方法を考えるときに生かすことができますよね。

 

 

 

 

これは私個人の体験をもとにした対策ですが、

あなたの苦手意識軽減のヒントになればうれしいです。
(^▽^)

 

 

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