いきなりですが、ちょっと考えてみてください。
健康管理室に従業員さんがやってきて、
こう言ってます。
腰が痛いんです。
湿布ありますか?
あなたはどうしますか?
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
湿布ですか? ありますよ。
貼るのをお手伝いしましょうか?
と湿布を貼ってあげるとか。
まあそれがあたり前ですよね(笑)
ではもう一問。
あなたはホームセンターのDIY用品売場の担当者です。
お客さんが6mmのドリルを買いに来ました。
しかし残念ながら、店頭にも在庫にも6mmのドリルがありません。
あなたはどうしますか?
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
どうでしょう。考えてみましたか?
たとえば、思いついたのはこんな行動でしょうか。
- 現在品切れしていると謝る
- メーカーから取り寄せるので数日待って欲しいと説明する
- 近隣の別のホームセンターを紹介する
- 在庫がある10mmのドリルを代わりに勧める
- どうしてドリルが欲しいのかきいて代替方法を探す
ちなみに「どれが正解で、どれが不正解」
という話ではありません。
(^_^)
『ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく穴である』
これはマーケティング界で有名な格言だそうです。
きいたことある方もいらっしゃるかも。
この話、極端な言い方をすれば、
ドリルを買いに来たお客さんに、
大変申し訳ありません。
ただいまドリルは品切れです。
と言うだけで終わってしまったら商売にならないよね、
って話です。
なんのためにお客さんがドリルを買いに来たのか、
それが大事なんだよ、と。
お客さんがドリルを買いに来たのは、
ドリルで穴を開けたいからなんですよね。
だから、もし6mmのドリルがなくても、
お客さんが欲しい穴が手に入れば、
満足していただくことができるというわけです。
ならば、商売の専門家としてのふるまいは、
- どんな穴を開けたいのか?
- 開ける場所の材質は?(木材、金属、コンクリ?)
- 何をするための穴なのか?
- 誰が使うのか?(大きさや重さに配慮は必要?)
- 穴は1個だけか、毎日使い続けるのか(耐久性)
などなどをヒアリングして、
お客さんがより自分の目的に合ったものを、
お客さんの期待以上に快適に手に入れられる方法を、
工夫しましょうよってことなんです。
もしかしたら、お客さんが買いに来た6mmのドリルよりも、
もっと便利なものとか、
もっと使いやすいものとか、
もっと安く買えるものとか、
そもそもドリルで穴を開けなくてもいい方法があるかもしれないとか。
考えてみたらけっこう可能性は広がりそうですよね。
これはマーケティングの話なんですけど、
私たちの仕事にも似たようなことあると思いませんか。
冒頭の一つ目の質問。
腰が痛いんです。
湿布ありますか?
と言われてどうするか?
もちろん湿布を貼ってあげるのは効果的なケアです。
でも私たちは『看護の専門家』なので、
それだけで終わったらちょっと寂しいかも。
「この従業員さんが”本当に欲しいもの”ってなんだろう」
と考えてみると違うケアも生まれますよね。
たとえば”本当に欲しいもの”は、
”腰痛に悩まされない生活”かなとも思うわけです。
- いつから痛いのか?
- よくある(繰り返している)ことなのか?
- 原因に心当たりはあるか?
- 何か対策はとっているのか?
- 腰痛のせいで不便なことはあるか?
- 腰痛についてどう思っているのか?
などなどをきいてみて。
お役に立ちそうであれば、
追加できるケアがあるかもしれませんよね。
さらに私たちは『産業看護職』なので、
腰痛と作業との関係に着目して、
- 職場巡視して作業環境や作業内容を確認する
- 産業医へ相談する
- 職場の上司から話をきく
- 職場の他の従業員にも聞き取り調査をする
- 職場へ腰痛対策推進を働きかける
- 衛生委員会へ報告して横展開を促す
などのケアも提供できるといいなあと思います。
湿布をもらいに来た従業員さんに、
湿布を貼ってあげるだけ、
「ごめんなさい。湿布ないんです」というだけ。
これなら誰でもできるし、専門家は必要ありません。
企業の中(健康管理室)に『産業看護職』がいる意義って、
こういうことなんじゃないかなって思ったのでした。
(^_^)
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