集団健康教育をするとき、
講師はだいたい最初に自己紹介します。
あなた自身が講師となって、
集団健康教育を行うときにも自己紹介をやってますよね?
そのとき、何を話していますか?
名前と、所属と、職種(保健師です、とか)でしょうか。
加えてお天気や社会状況や社内で話題になっていることなど、
本題にさりげなく結び付けられるような話もしているかもしれませんね。
それで、参加者は関心をもって聞いてくれていますか?
それとも、本題とは関係ない話だと聞き流されてますか?(笑)
実は、講師の自己紹介を意識的して工夫すると、
そのあとの集団健康教育がずいぶん楽になりますよ。
特に初めて顔を合わせる集団とか、
親しい関係者が少ない集団を前にして健康教育を行うときには、
自己紹介の活用をおすすめしたいです。
そのためにまず、
あなたの中で”自己紹介の位置づけ”を今までとは変えましょう。
自己紹介は単なるあいさつではありません。
違和感なく本題につなげるための単なる導入でもありません。
一つのコンテンツとして、はっきりと目標を立てて提供する必要があります。
では、自己紹介の目標とは何でしょうか。
それは以下の2つです。
(1)講師(あなた)に親しみと信頼感を持ってもらう
(2)参加者が自分の理想の姿になれるとイメージしてもらう
一つずつ説明していきますね。
「(1)講師(あなた)に親しみと信頼感を持ってもらう」
の目標について
一般的に人は、自分が一目置いている相手の話はよく聞いてくれます。
逆に、それほど重要だと思っていない相手の話は記憶に残してくれません。
例えば、私の母は後期高齢者なので、
夏場になると「熱中症予防のために適宜エアコンを使い水分を摂取するように」
ということを、私も何度も話をしてきました。
しかし私が言っても、
「わかってる。大丈夫。ちゃんと飲んでる」
というばかりです。
ところがある日、主治医のところで
「脱水になりかかってる、もっと水分を摂るように」
と言われてきました。
その日から、1.5リットルのペットボトルに麦茶をつくって、
一日の水分摂取量を管理するようになりました。
なんという変わり身
Σ( ̄ロ ̄lll)
主治医(一目置いている相手)のたった一言でこんなに変わりますからね。
私だって保健師なんですけど・・・
一応、医療関係者なんですけど・・・
母にとって私は娘という位置づけなので、
娘のアドバイスは小言と同じで適当に受け流されてしまうんですよね~。
話を戻すと・・・
あなたが普段から従業員の身近な存在として仕事している産業看護職だとしたら、
参加者と講師(産業看護職)との距離感が、
母にとっての私(娘)のような距離感になっているかもしれません。
あるいは、あなたが普段は別の事業場(健保など)にいる産業看護職の場合には、
参加者たちと親しい面識がないだけに、
「こいつ、誰?」的な怪しい存在に映っているかもしれません。
だからこそ、自己紹介をうまく使いたいんです。
自己紹介を使ってあなたに親しみを感じてもらうと同時に、
一目置くに値する講師なのだというところをわかってもらいましょう。
例えば以下のような方法が使えますよ。
・相手との共通点をあげて親しみを持ってもらう
・「〇〇ですよね~」など相手への理解を示したり、相手の代弁をする
・あなたが信用に値することを示すような経験談(実績や事例など)を紹介する
それでは次は、
「(2)参加者が自分の理想の姿になれるとイメージしてもらう」
の目標について
一般的に、人は自分の得にならない話は、
「右耳から入ってそのまま左耳へ抜けていってしまう」ものです。
例えば高校時代の数学は、
「こんなの人生でいつ役に立つんだよ~」
って思いながら勉強した方が多かったのではないでしょうか?
それでも当時は仕方なく覚えましたよね。
微分積分とか三角関数とか。
ところが今はもうきれいさっぱり忘れてます!
逆に、儲け話とか人気の店のお得情報とか、
自分が得をする話だと思えば耳を傾けてくれる人が増えます(笑)
つまり「自分が得をする、役に立つ」という考えを持ってもらえれば、
その話はよく聞いてもらえるでしょうし、
記憶にも残りやすくなりますよね。
だからこそ、自己紹介の出番です。
この人は「自分の得になる、役に立つ話をしてくれる人なんだ」
という印象を持ってもらえるように工夫しましょう。
参加者に「自分の得になる、役に立つ」と思ってもらうために、
どうすればいいでしょうか?
ストレートにそれを伝えて説得してもいいですけど、
人によっては強引に押し売りされているような気分になってしまうかもしれません。
例えばこんな方法が使えますよ。
・自分もそうなるかもしれないという期待を持たせるエピソードを使う
・〇〇が△△に変化(成長、改善)しました、という事例や経験談を話す
なるべく参加者と特徴が似通っている事例がいいですね。
中年女性を対象にしているのに、女優の体験談を紹介しても
「へぇ~、そうなのね~。でも私は違うから」
っていうオチになってしまうので。
逆に、半年前から禁煙に取り組んでいる同僚社員の事例を
禁煙がテーマの集団健康教育で紹介したら
「じゃあ自分もできるかも」っていう反応が期待できます。
そうやって、
近い将来の自分が今よりも成長している、
よい方向に変化している、
という姿を参加者にイメージしてもらいます。
そしてこれこそがポイントなのですが・・・
その変化の過程に「私が関与しました」とか、
「今からやる集団健康教育が効果的でした」という、
あなたの実績を盛り込みましょう。
実際にはあなただけの実績ではないかもしれません。
いや、直接あなたが関与していない実績なのかもしれません。
それでもいいんです。
こじつけでもなんでもいいので、
あなたの関与をにおわせましょう(笑)
要は、あなたの自己紹介を聞いて、参加者に
「自分がよい方向に変化・成長・改善できるかもしれない、この人はそれを助けてくれる」
という印象を持ってもらうことが大事です。
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集団健康教育は、講師と参加者の相互作用で成り立っています。
参加者が、講師に親しみと信用を感じ、
「この人の話をきいたら今よりよい自分に変われそうだ」
と期待したら・・・
きっとその集団健康教育の雰囲気はよくなって、
講師にとっても参加者にとっても楽しく実りのある時間になるはずです。
そのために、自己紹介をうまく活用してくださいね。
もしかしたら顔見知りの参加者に、
改めて自己紹介をするのは照れくさいかもしれません。
あるいは講師としての自分に実績や自信がなくて、
遠慮してしまう気持ちもあるかもしれませんね。
しかし、そんな照れくささや遠慮はひとまず脇に置いて、
堂々と!!
あなたが親しみと信頼を受けるにふさわしい存在であること、
参加者を理想の状態へ導くことができる存在であること、
を伝えてください!
参加者もそれを待っています。
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