準備期がずっと続いている人はどうすればいい?

看護職ならだれでも看護学生のころ、

山のように看護理論だのモデルだのを学んだ、

という記憶があると思います。

 

でも、それらをうまく自分の看護で使えているか、

となるとちょっと難しいよって感じですかね~。
(^_^;)

 

私は看護学校で非常勤講師をしていて、

担当する科目の中で、ちょうど今、

健康信念モデルや変化のステージモデルなどの

保健指導に活用できる行動変容モデルを教えています。

 

私自身は、これらの行動変容モデルが、

保健指導に活用できると知り、

その方法を身につけたことで、

自分の保健指導が劇的に変わりました。

 

だから、

「講義で押しつけられても試験が終われば忘れちゃう」

なんてもったいない、と心から思っています。

 

少しでも学生さんたちの記憶に残してもらえるように。

できるだけ自分の看護に生かしてもらえるように。

 

行動変容モデルを使った保健指導を考えるという演習に、

グループワークで取り組んでもらっています。

 

多少は効果があるようで(笑)

講義で聞いたことが、がぜん自分事になるみたいです。

 

例えば、自分の身近な人を思い浮かべて、

「あの人は無関心期なのかな~」と考えたり、

「健康信念モデルを使って禁煙を勧めてみたい」と思ったり。

 

学生のコメントにも関心の高さが表れてきます。

私も毎回、刺激をもらえて楽しい演習です。

 

 

 

そして、毎年いくつか質問も出るのですが、

今年はこんな質問がありました。

 

「何回きいても、ずっと準備期が続いていて、

次の段階に変化しない人はどうすればいいでしょうか?」

 

私が勝手に想像するに、

その学生さんと身近な人との会話で、

 

「たばこ、いつやめるの?」

「ストックがなくなればもうやめるよ」

 

みたいな状況が数か月(もしかして数年かも)、

続いている感じなのかな、と。

きいたら「すぐ行動する」と言う。

  ↓

1か月以内に行動する気があるようだ。

  ↓

ならば、変化のステージモデルの「準備期」だ。

と、その学生さんは判断したのだと思います。

 

でもこのケースのように、聞かれたら口では、

「すぐやる(すぐやめる)」と言ってるんだけど、

実際には行動しない人ってよくいますよね。

 

これって、私たちも保健指導で、

はまりやすい落とし穴だと思いませんか?
(^_^;)

 

 

 

 

「準備期」だと判断した対象者さんなのに、

なかなか行動しないのはどうしてなんでしょうか?

 

その人がいい加減だから?

その人の意志が弱いから?

看護職に遠慮して本音が言えなかったから?

 

それもあるかもしれませんが(笑)

 

できればもうちょっと専門家らしい視点で、

考え直してみると・・・

 

 

1つ目には、

変化のステージモデルの使い方が、

中途半端だからだと思います。

 

変化のステージモデルは、

今現在の対象者のステージを見極めて、
それに適した働きかけを行うことで、
結果として対象者のステージが上がることを目指す。

という使い方をします。

 

★ステージの見極めをする

★ステージに適した働きかけをする

 

この両方をセットで行うことが必要です。

 

例えば、準備期というのは、

「1か月以内に行動する気がある(準備ができている)」

というステージですが、その場合、

行動変容の決意を固めてもらい、話し合いの上、
対象者にとって具体的で達成可能な行動計画を立てる。

という働きかけを行うことが大事なんですよね。

 

つまり、「ステージを判断して、後は待つ」では、

半分しかやっていないってことなんだよね~。
σ( ̄。 ̄;)

 

 

そして2つ目に、

ステージの見極めが難しい、

というのもあると思います。

 

最初から核心をついてステージを正しく判断し、

ガッツリ有効な保健指導を提供できれば、

それが一番いいんでしょうけど。

 

自分も相手も生身の人なので、

そんな理想的な展開ばかり望めませんから。

 

例えば、このケースのように、

やるといいつつ行動しない人の場合、

当初は準備期と判断していたとしても、

私だったら途中で考え直すと思います。

 

「この人、本当は準備期じゃないな」って。

 

最初に判断したステージに合わせて働きかけても、

期待するような反応が得られないというときは、

ステージを判断し直してみるのも一つの手です。

 

 

それから、私の経験上の話ですが、

準備期にみえるのになかなか行動しない人には、

 

行動を邪魔している「障害」があったり、

行動をしないことに「有益性」を感じていたり、

行動しないことの「脅威」を納得してなかったり、

行動するほど「自己効力」が高まってなかったり、

 

ということが隠れてたりするんですよね。

しかも、本人もそれに気づいてないことが多いです。

 

この対象者さんが行動できない要因は何か?

 

本人と一緒に探したり、それを解決するところから、

アプローチし直さないといけなかったりします。

 

そうやって、あの手この手で関わり続けられることも、

私たち看護職に必要な能力なのかな~って。

学生への回答を考えながら思ったのでした。

 

ちなみに、具体的にどんな働きかけをするかは、

ケースバイケースなので、対象者さんに合わせて、

いい方法を考えてあげてください。

 

そこは私も修行中です!
ε=(^。^;A

こちらでも、たびたび保健指導の話題を取り上げてます。

よろしければ登録してご覧くださいね!

ピュア産業看護事務所のメールマガジン

【ピュア通信】は毎週火曜日に配信中です!

業務のヒントや今田の経験談、

読者の方からいただいた感想やご質問のお返事など

気軽に読んでいただける内容をお届けしています。

無料です。こちらから登録してくださいね。
↓ ↓ ↓

記事の更新をSNSでお知らせしています。