以前、産業看護職の方からこんなご質問をいただきました。
私は看護師資格しかありませんが、
健康診断の結果から保健指導を行なっても
問題ないのでしょうか?
保健指導というと、保健師が行うもの
というイメージがあります。
健康診断の結果、
受診勧奨は産業医の指示で行っています。
要経過観察者への指導も行いたいと思っているのですが、
看護師の私が実施してもいいのか不安です。
こんな内容でした。
あなたはどう思われますか?
「そんなこと、気にしたことなかったわ~」って感じですか?
それとも、
「実は私も気になってたのよね~」って感じでしょうか?
結論から言うと、
看護師が保健指導を行なっても何も問題ありません。
全然、大丈夫です!
安心して保健指導がんばってくださいね!
(^▽^)
ちなみに、私も十数年前、同じことで悩んでいました。
当時勤めていた事業所では、
保健師は私一人(看護職は複数いたけど)だったので、
私一人で保健指導を全部やれと言われていたのです。
でも、私一人でカバーできる社員数ではなかったし、
そのうえ、当時の私は“保健指導が大の苦手”で、
できることならやりたくない、と内心思っていたので。
( ̄▽ ̄;)
なんとか他の看護師さんたちも巻き込んで、
看護職全員で保健指導を行う体制をつくろうとしました。
ところが、同僚の看護師さんからは、
「保健指導をするのは保健師の仕事でしょ」
と突き放されて。
上司(非医療職)からは、
「保健指導は保健師しかやっちゃいけないんじゃないの」
と言われて。
うっかり信じちゃったんですよね(笑)
そのせいで、あの時はいろいろ振り回されて大変でした。
┐(´Д` )┌
なぜ、こういう誤解が生じてしまうのでしょう?
それは、『業務独占』と『名称独占』が、
ごちゃ混ぜになっているからだと思われます。
まず、『業務独占』についてみてみます。
例えば、『業務独占』として有名なのは「診断や治療」ですね。
これは医師の『業務独占』なので、
「診断や治療」ができるのは医師だけです。
だから、保健師や看護師は「診断や治療」をしちゃダメですよね。
“門前の小僧、習わぬ経を読む”のごとく、
看護職でも病名の見当がつくときもありますが、
それを診断として患者さんに伝えてはいけないってことは、
看護職にとっては常識ですもんね。
一方、保健指導は『業務独占』ではありません。
なので、保健師以外の職種でも保健指導することができます。
医師でも、看護師でも、栄養士でも、歯科衛生士でも・・・
保健指導していいんですよ。
ご質問くださった看護師さんが
「保健指導は保健師が行うものというイメージ」
を持っていらっしゃったのは、
保健指導を保健師の『業務独占』と思っていたからかもしれませんね。
私も昔はそこを誤解してました。
(^_^;)
ついでに、『名称独占』にも触れておきますね。
保助看法によると、保健師は『名称独占』です。
これはどういう意味かというと、
「保健師免許を持っていない人が保健師と名乗ってはいけない」
という意味です。
保健指導そのものは、看護師がやっても何も問題ありません。
でも例えば、「△△の保健指導は保健師が行う」と決められていたら、
その「△△の保健指導」ができるのは保健師だけになります。
もし保健師以外の者がやったら、厳密にいうと“アウト”です。
この場合、「△△の保健指導」は、
医師でも、看護師でも、栄養士でも、歯科衛生士でも・・・
できないことになります。
法令が「保健師が行うべし」といっていたら、
保健師じゃない人はやってはいけない、
ということになるからですね。
そして『名称独占』によって、
保健師以外の者は保健師と名乗れませんから。
ただ、今のところ、産業看護の分野では、
保健師しかできない業務というのはありませんので、
どうぞご心配なく!
それから、ちょっと蛇足になりますが・・・
質問をくださった看護師さんがやりたいとおっしゃっていた
“健康診断結果が要観察者への保健指導”というのは、
労働安全衛生法の第六十六条の七(保健指導等)に該当すると思います。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
労働安全衛生法 第六十六条の七(保健指導等)
事業者は、第六十六条第一項の規定による健康診断若しくは当該健康診断に係る同条第五項ただし書の規定による健康診断又は第六十六条の二の規定による健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行うように努めなければならない。
__________
これはそもそも、
「医師又は保健師による保健指導を行うように努力してくださいよ」
ということであって、
「医師又は保健師がやりなさい」といっているわけではないので、
「看護師」さんも保健指導をやってくださって大丈夫です。
(^_^)/
今回のご質問は、一人職場の看護職の方からいただきました。
事業所に看護職が自分一人という、通称“一人職場”。
そういう環境で仕事をしていると、
ちょっとしたことでも、ふと気になったり、
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