ストレスの対処法のクセ

 

 

ここ2~3か月、

委託を受けている事業所のストレスチェックを

実施しています。

 

主な業務の一つが、

ストレス調査票の結果に基づいて、

ご本人にお返しするコメントを書くことです。

 

コメントを書くときは、

今年のストレスチェックの結果だけでなく、

可能な限り昨年の結果とも照らし合わせて、

その人のストレスの度合いや

心身の対象の様子を推し測りながら書いています。

 

対象者と一度もお会いしたことがないのに

コメントを書いているので、

正直とても難しいです。

 

それでも今までの経験と知識を駆使して、

なるべくご本人にとって、

癒し、励まし、気づき、納得・・・

を感じてもらえるコメントになるように

心がけています。

 

 

さて、

ストレスチェックの結果を見ていると、

「この方はストレス対処があまりうまくないのかな~」

と気になるケースが散見されます。

 

ストレスによる心身反応が多くて、

仕事も生活もあまり満足していなくて、

上司、同僚、家族、友人とのコミュニケーションを

あまり積極的にとっていないのかなぁ・・・

と気になってしまうケース。

 

昨年の結果をみてみると、

同じような傾向だったりするので、

「この方は、この一年間、ストレスで息苦しい気持ちが続いていたのかなぁ」

と気になってしまうのです。

 

 

 

 

ストレス対処については、

ラザルスのストレスコーピング理論が有名ですよね。

 

ちなみにラザルスのストレスコーピング理論を、

簡単に、

ざっくりと、

説明すると・・・

 

 

ある「刺激源」に対して、

人はその刺激源が

「自分に害があるか、無害か、全く関係ないか」

を、まず判断します。

 

そして「害」だと判断した場合に、

それに対して

「自分は何ができるか、周りにどんな資源があるか」

などを判断して、

実際に対処(コーピング)の行動をとるわけです。

 

コーピングの方法には、

「問題中心型コーピング」と、

「情動中心型コーピング」の、

2種類のコーピングがあります。

 

 

「問題中心型コーピング」は、

ストレス源をなくしたり、

無害なものに変えることで

ストレス源そのものを変化させて問題を解決し、

ストレスに対処しようとする方法です。

 

例えば、

ぎくしゃくしている相手と話し合って仲直りするとか、

気になって仕方ない仕事を先に片付けてしまうとか、

ですね。

 

 

もう一つの

「情動中心型コーピング」は、

ストレス源には手を付けず、

ストレスによって生じた嫌な感情に対して

それを無視したり、気晴らししたりして、

別の感情で置き換えてストレスを解消しようとする方法です。

 

例えば、

問題を見て見ぬふりをするとか、

友達にグチってすっきりしようとするとか、

です。

 

 

この2つのコーピングは、

どちらがよくてどちらが悪いとか、

こっちが正しくてそっちは間違っている、

というものではありません。

 

 

いつもいつも正面から問題にぶつかっていって

解決できることばかりではありませんよね。

解決できないと無力感を感じたり、

自己否定になってしまうこともあります。

 

あるいは

 

いつもいつも問題を無視して対処していたら、

問題はそのまま残っていますよね。

いつの間にか対処できないほど大きな問題になっていて

ある日、押しつぶされてしまうかもしれません。

 

 

ストレスの種類や、

大きさや、

助けになりそうな周りの資源や、

その時の自分の体調など、

そういう様々な要素を考慮して、

「そのとき自分ができるコーピング行動を、

できれば複数やってみることができる」

というのが、

理想的なストレスコーピング

ということになるでしょう。

 

ただ、

私が今まで多くの方の健康相談をやってきた経験から、

どちらのコーピングを取りやすいとか、

両方やっていても片方のコーピングに偏りやすいなど、

その人のクセのようなものはあるなぁと感じています。

 

おそらく読んでくださっているみなさんも、

同じように感じていらっしゃるのではないでしょうか?

 

 

実は先日、

看護学生の講義でストレスと健康をテーマに話をしたときに、

ラザルスのストレスコーピング理論についても説明をしました。

 

その日のリフレクションシートには

「私は情動中心型コーピングをよくしていると気づきました」

とか

「自分は問題中心型コーピングです」

など、

自分のストレスコーピングの気づきを書いてくれた学生が

何人もいました。

 

そして

「両方のコーピングが大事だとわかりました」

とか

「自分も両方のコーピングができるようになりたいです」

と。

 

もちろんこれで、

どんなストレスでも解消できるようになる

とは思っていませんが。

 

少なくとも気づいたことで、

『これからはもうちょっとうまくストレスに対処できるぞ』

という気持ちになれたんだろうなと。

 

リフレクションシートを読んでいて

私も心が軽くなったんですよね (^_^)

 

 

 

 

話をもとに戻しますが。

 

ストレスチェックを見ていて

高ストレス判定になる方の中には、

「もしかしてこの人はコーピングが下手なのかもな」

とか、

「もしかして一つのコーピング行動ばかりで対処しようとしているのかな」

と、感じられるケースが少なくないということです。

 

 

ただでさえ、

ストレス解消法のバリエーションを

あまり持っていないと思われる人が、

もしかして、

その解消法が酒やたばこやパチンコなどのギャンブルだったら、

悪循環なんだけどなぁ・・・

 

と、ストレスチェックのコメントを書きながら

もやもやした気持ちになってしまうのです。

 

 

しかし、私は委託を受けた外部の人間。

 

いくら気になっても、

直接ご本人と話をする機会を、

私の一存で作ることができません。

 

ということで、

気になるケースは多々あれど、

コメントで保健師面談を勧めること以上に

できることが何もない。

 

「ああ、私のストレスがたまるわ~!!」

と言いたかっただけかもしれません(笑)

 

 

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