労働衛生の3管理をイメージする

今日は看護学校で講義をしてきました。

テーマは『働く人の健康管理』

もろドンピシャで、産業看護の話なので、

あれも伝えたい、これも知ってほしい・・・

準備の段階で、すでに内容を盛り込みすぎてしまいました。

私の悪いクセです。

すでに詰め込みすぎだと自覚していたにも関わらず。

講義で話し始めたら、

話しているうちにどんどんテンションが上がってしまい。

最後の方は時間が足りなくて、

早口でまくし立ててしまった (^_^;)

毎回反省するんですけどね。

内容を盛り込みすぎても、相手が受け取りきれなかったら、

伝えなかったのと同じですもんね。

それはこちらの自己満足にしかすぎませんから。

以前はそんな自分が情けなくて、

セミナーや健康教育や講義をやるたびに落ち込んで、

2日間くらいは凹んでいたんですが。

最近は見方を変えました。

内容をつい詰め込みすぎてしまうのは、

サービス精神が旺盛だから(笑)と。

どこで見たか忘れましたが、

そんな話を読んだことがあって、

それを見たとき

「そうだよね~。そうなんだよ~。私っていい人じゃん」(笑)

って、救われたような気持ちになったのが始まりです。

(いや、でも、今日は盛り込みすぎたなと、真摯に反省しています)

というわけで、まだ今日の講義の興奮が冷めていません。

そこで、今日の記事では学生に話してきた内容の中から、

労働衛生の3管理を取り上げたいと思います。

労働衛生の3管理を

実際の産業看護にいかしやすいようにイメージしながら覚える

考え方をご紹介します。

はじめにお断りしておきますが、

ものすごく基本的な話なので、

「いまさら?」と思った方はスルーしてくださいね。

ちなみに、私は産業看護を始めて10年以上経ってから、

この考え方を知りました。

それですごく感激したんです。

もし興味があれば、続きをどうぞ。

労働衛生の3管理は、この3つです。

①作業環境管理

②作業管理

③健康管理

産業看護の業界にいらっしゃる方にとっては常識でしょう。

しかし私は産業保健師になった当初、

3管理のことを全く知りませんでした。

そしていつ、どんないきさつで覚えたのかも忘れましたが。

当時の私は、試験前に丸暗記する要領で、

呪文のように唱えながら、覚えようとしました。

でも、なかなか覚えられず苦労したことだけは、

なぜか鮮明に思い出します。

労働衛生の3管理と聞くたびに、

そのときの苦労がよみがえるほどに
( ̄▽ ̄;)

そして時は過ぎ。

大学院で「産業看護職の作業環境管理と作業管理」をテーマに

研究をしていたときの話です。

指導教員(産業看護経験者)から

「3管理の順番が違う」

と指摘されました。

私はそれまで3管理の順番なんて、気にしたことはなくて。

ただ思い出した順番に言っていたので、

そのときによって順番はバラバラでした。

指導教員が言うには、

労働衛生の3管理の順序は

作業環境管理 → 作業管理 → 健康管理

ではないかと。

そして、その理由を説明してくださったのですが。

それを聞いて私はものすごく納得しました。

そしてそれ以来、

絶対に順番も間違えないし、

3管理がなんだったかな~と思い出すのに苦労することもなくなったし、

何より「産業看護ってそうやって進めていけばいいのか」って、

目の前に道が開けたような気分になったほどです。

ではここから先は、わかりやすさを優先して、

極端に単純な言い方で説明させていただきます。

労働者の健康障害は、有害要因の曝露によって発生します。

つまり健康障害の発生を予防するためには、

労働者が有害要因と接触しなければいいわけですよね。

だからまずは、

労働者を取り巻く環境から有害要因を取り除きます。

これが【作業環境管理】です。

たとえば、

現在使用している溶剤や化学物質などを

無害のものに変えるとか。

局所排気装置や全体換気装置などで、

有害物質を環境の中に残さないようにするとか。

音がうるさい機械を丸ごと囲って、

騒音が外に漏れないようにするとか。

作業環境管理が完璧で、

労働者は絶対に有害要因に曝露されないという状況であれば、

健康障害は発生しないんです。

しかし、現実は、

無害の溶剤や化学物質に変えるというのは

簡単な話ではありません。

局所排気装置や全体換気装置も

費用の問題や作業方法にそぐわないなどの理由で

導入できない場合もあります。

騒音の機械を全部囲ったら作業がやりづらくなってしまったので、

結局、労働者までその囲いの中に入って作業するしかなかった、

なんていう事態にも遭遇したことがあります。

こういう場合には仕方ないので、

保護マスク、保護メガネ、保護手袋、耳栓などの保護具を使ってもらって、

労働者と有害要因との接触を避けることになるわけです。

あるいは、作業時間を短くして、

有害要因との接触の時間を制限することで

労働者への影響を最小限に抑えるという方法を

とることもありますよね。

これが【作業管理】です。

これでかなり有害要因の曝露を抑えることが

できるようになるわけですが。

保護具の着用や作業時間の制限は、

労働者へ少なからず負担をかけることになります。

保護マスクなんて重いし、

装着が面倒だし、

なんとなく息苦しく感じるし、

あんなごっついものが顔の前にあったら

視野の邪魔になって作業がやりにくいし・・・

労働者から「保護具、いやだよ。使いたくない」

と言われるたびに、

内心では「そうですよね~、よくわかりますよ~」

って思ってました。

だから、労働者に負担を強いる作業管理よりも、

作業環境管理の方が優先順位が先になるんですって。

作業環境管理で問題が解決されていれば、

保護具使わなくても済むかもしれないわけですから。

で、ここまで徹底して

作業環境管理と作業管理をやっても、

完全に健康障害を防げるとは言い切れないんですよね。

曝露に対する感受性には個人差もあるので、

もしかしたら健康障害が発生してしまうかもしれない。

そうなったらもう、

早期発見して、早期対応するしかないです。

そのために健康診断をやって、状態を確認したり、

ちょっとやばそうな人がいたら先手を打って就業上の配慮を行い、

健康障害まで行ってしまわないようにする。

これが【健康管理】です。

どうでしょうか?

労働衛生の3管理をこんなふうにとらえてみると、

作業環境管理 → 作業管理 → 健康管理

という流れがイメージしやすくなりましたよね?

ただ単語として、

呪文のように3管理を覚えたときよりも、

産業看護活動でやるべきことを考えやすくなりますよね?

私はそうでした。

これを知って以来、私は労働衛生の3管理の話をするのが

大好きになりました(笑)

そして、今日もまた、学生たちに熱~く語ってきたのでした。

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