ゼロ次予防で意識が変わる!

 

 

私たち産業看護職は、

主に『予防』の分野の業務をしていますよね。

『予防』活動に関わりたくて、

産業看護職になったという話もよく聞きます。

 

ちなみに私が看護職になったのは、

子どものころからの夢であった「小児科の看護婦さんになりたい」

という動機のせいなので、

正直、保健とか、予防とか、

学生時代は全く興味がありませんでした。

 

そんな私が今は、

看護学生に『予防』の考え方を教えているわけですから。

いや~、一寸先に何が起こるかわかりませんよね(笑)

 

 

『予防』の考え方では、従来から

1次予防、2次予防、3次予防の3つが言われています。

 

私は、産業看護の現場に入ってしばらくしてから、

初めてこの3つの予防の考え方を知りました

(おいおい、マジか!って言われそうですが・・・)

 

それからさらにしばらくは、

この3つの予防の考え方の意味するところが呑み込めず、

毎回カンペを確かめないと、

1次予防は何かということすら説明できない

というありさまでした。

 

そんな私でしたが、

この3つの予防の意味するところを

なんとか理解しようと試行錯誤して、

今はざっくりとこんなふうにとらえています。

 

1次予防:危険因子のコントロール(疾患の予防)

2次予防:疾患の早期発見・早期治療(悪化の予防)

3次予防:治療、リハビリ、再発防止(再発の予防)

 

他の医療職と話をしていて、

大きく認識がずれたことがないので、

たぶんこのとらえ方で大丈夫なのでしょう。

 

 

さて、そして今日の本題です。

 

最近はこの1次予防~3次予防の3つの前に、

0(ゼロ)次予防

という考え方があるのですが、ご存知ですか?

 

ご存じだった方、さすがです!

 

私は恥ずかしながら、昨年まで知りませんでした。

学生の講義をするために教科書を見て初めて知ったんです。

(おいおい、マジか!って、また言われそうですが・・・)

 

0次予防は、

ヘルスプロモーションの考え方に基づいています。

 

理解しやすさを最優先にしてざっくり言うと、

ヘルスプロモーションの考え方では、

健康づくりは、

本人の努力と、

専門家による助言・動機づけ

に加えて、

健康づくりの行動を助けるための環境づくり

まで含んだものであるとしています。

(ヘルスプロモーションについての詳細な説明はここでは省略します)

 

0次予防は、この

「健康づくりの行動を助ける環境づくり」の部分

を指しているんですね。

 

例えば、

たばこの値段を上げるとか、

たばこの自動販売機を撤去するとか、

全面禁煙にしたり、

喫煙所の数を減らすなど。

 

たばこを吸いたいと思っても吸いにくい環境をつくることで、

禁煙の行動を助けようとするのが0次予防です。

 

あるいは、

禁煙による体重増を防ぐために

社員食堂で栄養バランスやカロリーに配慮したヘルシーメニューを用意するとか、

禁煙している人の家族が応援してくれるとか、

職場のメンバーに協力を依頼してたばこの話題を避けてもらうとか。

 

こういうのも禁煙の行動を助ける環境づくり、

すなわち0次予防の活動と言えるでしょう。

 

そういう意味では、

たとえ0次予防という考え方を知らなかったとしても、

実際には今までも、

1次予防の一部として健康づくりのための環境づくりを

やってきていたと思います。

 

ただ私自身は、0次予防という考え方を知ってからは、

今まで以上に『環境づくり』を意識するようになりました。

 

講義でこの話をした日のリフレクションシートには、

毎回、数名の学生がこの話題についてコメントを書いてくれます。

 

初めて知ったとか、

環境づくりが大事だとよくわかったとか、

環境づくりがあった方が禁煙も成功するだろうと思うとか、

こんな感じのコメントが多いです。

 

予防の考え方について初めて学ぶ学生にとっても、

0次予防を独立させたことで、

健康づくりには環境づくりが大事なんだ

というイメージが伝わりやすいのだなぁ

というのを実感します。

 

それこそが0次予防を独立させ、

提唱するようになった理由なんでしょうね。

 

 

今日は0次予防についてご紹介しました。

おまけで、学生への講義で使っているスライドをくっつけます。

映像で見ると、またちょっと、

記憶に残りやすいかな~と思うので(笑)

 

 

 

集団健康教育の講師をやるときのちょっとしたコツを、
無料メールセミナーでお伝えしています。

無料メールセミナーのご案内ページはこちらから。

記事の更新をSNSでお知らせしています。